Kyoto University Advanced Nursing Sciences

日本語

English

女性生涯看護学

スタッフ

菅沼 信彦 教授

分野の紹介

生物にとって個体の死は避けることができませんので、生殖を通して種を保存することが生命体の最大の目的と言えるでしょう。有性生殖を行う動物にとって、性交は生殖のための重要な行為ですが、ヒトにおいては進化の過程で性意識ならびに性行動そのものが意味を持つようになってきました。それでは性意識・性行動とは何を意味するのでしょうか。生殖とどのように結びつくのでしょうか。医療者はどのように性や生殖を捉えていかなければならないのでしょうか。当分野では、そのような観点をメインテーマに、教育や研究を行っています。

研究・教育について

学部においては、性と生殖、さらには妊娠・出産に関する知識と理解を深めます。卒業研究のテーマとしては、生殖補助医療や周産期医療、性の現状と問題点などを取り上げています。
大学院では、これらの命題をより深く掘り下げます。ヒトの性別は、生物学的には染色体・遺伝子→性腺→内外性器の流れで決定されますが、その異常が「インターセックス」として存在することになります。加えて性同一性障害などにみられる精神・心理的要因や、同性愛者のような性指向も加味されなければなりません。さらにこのような集団においては、その「性」の在り方と同時に、「生殖能」についても考えていかなければなりません。そして今、生殖補助技術は大きく進歩し、次々と新たな展開を迎えています。
生殖補助医療の発展により、第三者からの卵子提供や代理懐胎が技術的には可能になりました。また将来的には、ES細胞やiPS細胞を用いて配偶子を人工的に作製できる可能性まで取りざたされています。しかしながら、そこには倫理的・社会的に種々の大きな問題があることも忘れてはなりません。「生殖」と「性」が一体であることは間違いなく、幅広く検討することが必要であると考えます。

gynecological1  gynecological2
①第52回日本母性衛生学会学術集会会場風景(2011年9月29-30日、国立京都国際会館、菅沼信彦会長)
②世界産婦人科会議(FIGO)における山口先生のポスター発表(2012年10月7-12日、Rome、Italy)