Kyoto University Advanced Nursing Sciences

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緩和ケア看護学分野

スタッフ

宮下 美香 教授

恒藤 暁 教授

白井 由紀 准教授

黒田 貴子 助教

研究室webサイト http://oncol.hs.med.kyoto-u.ac.jp

分野の紹介

緩和ケアの歴史は、1970年前後から世界で拡大したホスピス運動から始まりました。その後、緩和ケアの重要性の認識が高まり、関連学会の設立、研究の進展により、臨床および学術の両面で大きな発展を遂げています。2002年にWHO(世界保健機構)が緩和ケアの定義を改訂し、時期や病気のステージに関係なく生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族が緩和ケアの対象となり、予防の概念も導入されました。我が国においても、診断時からの緩和ケアが推奨され、がんを経験した人とその家族が有する様々な苦痛を緩和するための包括的ケアの構築と提供が進められています。

緩和ケア看護学分野は、生命を脅かす疾患の診断時からその後の生活において経験される全人的苦痛を予防、緩和し、Quality of Life (QOL)の維持向上をはかる看護ケアの創造と社会実装を目指します。

プロジェクト

現在、本研究室が主催および参画しているプロジェクトです。

  • 患者医師間のコミュニケーションの質の向上を目的としたコミュニケーション技術研修会(日本サイコオンコロジー学会、日本緩和医療学会)http://www.share-cst.jp/
  • がん医療におけるコミュニケーションガイドラインの作成(日本サイコオンコロジー学会、日本がんサポーティブケア学会) http://jascc.jp/groups/psychology/

教育内容

学部教育では、がん看護学および老年看護学に関連した講義、実習科目を担当しています。3年次の「緩和ケア論」「成人看護学Ⅲ」では、学生は、対象を全人的に理解し、あらゆる苦痛・苦悩を緩和し、自立と自律を支える包括的アプローチにより最期までその人らしく生き抜くことを支援する看護を学びます。「成人看護学実習Ⅲ」では、京都大学医学部附属病院、高齢者施設において慢性的な健康課題を有する方への看護実践や高齢者の健康と生活を支える援助を学びます。4年次の「統合実習」では、京都大学医学部附属病院緩和ケアチーム、地域のホスピス・緩和ケア病棟、ともいき京都(がん体験者・家族、市民が相互に支え合う地域コミュニティ)等における実習を通じ、全人的苦痛を緩和するための専門的な医療ケアやがんサバイバーシップを支援するケアの実際を学びます。「統合看護」では、主に緩和ケアをテーマとした卒業研究に取り組み、科学的探究のプロセスを理解し、論文作成の基礎的知識と技術を身に付けます。

大学院教育では、研究者養成プログラムにおいて優れた研究者を養成し、高度実践研究者養成プログラムにおいてがん看護専門看護師を育成します。トータルペイン、がんサバイバーシップなどの主要な概念、苦痛・苦悩を緩和する実践について学び、緩和ケアの基盤となる知識を身に付けるとともに、様々な研究方法論を学ぶことにより、新たな看護を創造する研究遂行能力を養います。また、エビデンスを読み解く力を養い臨床への適用を検討することを通じ、EBPを推進する能力を身に付けます。緩和ケア看護学、がん看護学の発展に寄与する世界水準の研究遂行と看護ケアの構築に向け、海外の優れた研究者、実践家との交流を支援します。

分担執筆した教科書・図書

研究内容

がんサバイバーが経験する全人的苦痛を緩和するケア開発を中心とし、様々な研究に取り組んでいます。

主な研究テーマ

・がんとがん治療に関連した認知機能障害の評価、実態把握、予防・緩和介入

・患者の苦痛と苦悩へのアプローチ

Whole Person Careの理論と実践

・がん医療におけるコミュニケーション促進プログラムの開発・有効性の検証

・血液腫瘍患者への意思決定支援プログラムの有効性の検証

・化学療法を受ける患者の体験

・化学療法の副作用によるQOL低下に対するケア