Kyoto University Advanced Nursing Sciences

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生活環境看護学

スタッフ

若村 智子 教授
長島 俊輔 助教

若村研究室Facebook https://www.facebook.com/502535473200446/

分野の紹介

生活環境看護学とは、生活環境と人との関わりを通じて、看護学を考える分野です。環境は、看護の基本概念の一つです。「看護の覚え書き」(ナイチンゲール)では、環境が健康にとって重要な要因であると述べられています。看護を、あらゆる人々を対象に日常の生活環境を時間の流れの中で整える仕事であると、とらえるならば、環境は、衣食住などの物理的環境にとどまらない広い概念です。その環境を切り口に、生活環境看護学分野では、様々なフィールドで、より健康に、より安全に暮らすための研究を行っています。

研究について


Biological rhythm laboratory
(バストイレつきシングルルーム2室)
左:暗条件 右:明条件として撮影

現在、取り組んでいる主な研究には、シフトワーカーにとっての環境や生活についての研究、環境が生体に与える影響に関する研究,睡眠と糖尿病や、CPAPを使用している患者の寝室環境に関する調査および女性の排泄障害の予防・改善のための排泄機能評価法に関する研究などです。
これらの課題について、実験室でのデータ収集、コホートを含む調査研究、事例を通した検証研究、MRIを用いた解析など、それぞれの目的に応じた方法で研究を行っています。本研究室では、体温、心拍、脳波などを収集・解析することが可能です。
看護の研究では、生活に準じた環境でのデータ収集が求められます。その目的に沿った実験室で測定は、天候などに左右されずに、リアルライフに近いデータ収集を可能にしました。

Biological rhythm laboratory (バストイレつきシングルルーム2室)室内全体
左:暗条件 右:明条件
Biological rhythm laboratory LED波長可変光源により、多様なシーンでの実験が可能

女性の排泄障害の予防・改善を目的としする下着の開発研究は、看護学以外の他分野の大学や企業と共同で行っています。これからの看護学には、このようなイノベーションの創出も求められています。
また、地域で暮らす人々の生活にあわせた健康支援を行うために、フィールドにも出かけています。


京都府内で開催された睡眠相談会での対応の様子

教育について

私たちの分野では、基礎看護学領域の看護学原論、基礎看護技術学を主に担当しており、研究室で得られた成果や経験は、これらの教育にただちに反映させ、有機的なリンケージが図れるように努めています。
また、多くの大学院生を受け入れ、その教育を行っていますが、シフトワークを含む彼らの臨床看護経験は、各自の研究領域を明確にするためにとても役に立っています。いくつかの研究を同時進行させて、研究室として大規模な実験や調査研究で成果を上げています。博士課程では、日本学術振興会特別研究員に採用されている学生もいます。彼らのそのまじめな取り組みは、学部生を含めて、学会等で多くの表彰の対象になっており、研究の励みになっています。


石崎麻衣さん(2015
日本生理人類学会奨励研究会優秀発表賞(学部4回生)

長島俊輔さん(2015
日本看護技術学会優秀発表賞(博士課程1回生)

長島俊輔さん(2010)
京都大学総長賞(学術)(学部4回生)

大澤まどかさん(2016
コ・メディカル形態機能学会優秀発表賞(学部卒業後1年)

長島俊輔さん(2016
日本看護科学学会学術集会で川嶋みどり先生と看護技術教育について語るセッションに参加(博士課程2回生)

~体内時計と看護学~

私たちの脳にある体内時計は、太陽光の明暗サイクルに同調するような仕組みを持っています。これは、地球上で生きる多くの生物に共通です。しかし、電灯の発明以来、私たちは夜に明るく過ごすことができるようになりました。しかし、その環境は、体内時計や生体リズムに大きく影響を及ぼしていることが、最近わかってきました。利便性が追究されてきた夜の人工照明下での生活は、ヒトの睡眠行動を妨げたり、生体リズムを夜型化させたり、肥満やがん発生のリスクを高める危険性までもが報告されるようになってきました。病院で、人々が眠っている夜中も、患者を見守りつづけ、守っているのは看護師です。看護師がより健康的に働くためにもどのような環境が最善であるかを求めていく必要があります。一方で、もちろん、患者の本来持っている睡眠―覚醒リズムの力を引き出し、周囲の環境と合わせていく仕事は、つまり、眠れない患者を救うのも看護の力であることは、いうまでもありません。

最近の業績リスト

  1. Sato M, Wakamura T, Morita T, Okamoto A, Akashi M, Matsui T, Sato M. Effects of bright light exposure during daytime on peripheral clock gene expression in humans. Int J Biometeorol. 2016;
  2. Nagashima S, Masutani E, Wakamura T. Food intake behavior and chronotype of Japanese nurses working irregular shifts. 2014. International Journal of Psychological Studies;Vol. 6(2)
  3. 長島俊輔,若村智子.夜勤後の日中仮眠時の光環境がその後のメラトニン分泌と睡眠に及ぼす影響.日本看護科学学会学術集会 2016.
  4. 大澤まどか(優秀発表賞),長島俊輔,若村智子.夜勤後の日中仮眠時における光環境が認知パフォーマンスに及ぼす影響.日本コ・メディカル形態機能学会第15回学術集会、2016
  5. 二宮早苗,岡山久代,遠藤善裕,内藤紀代子,齋藤いずみ,森川茂廣:下着のサポート力による膀胱頸部拳上作用のメカニズムの検討.看護理工学会誌,1(1)31-392014
  6. Ninomiya S, Saito I, Masaki K, Endo Y, Morikawa S, Okayama H: Single-Arm Pilot Study to Determine the Effectiveness of the Support Power of Underwear in Elevating the Bladder Neck and Reducing Symptoms of Stress Urinary Incontinence in Women. LUTS, 6(2), 81-87, 2014. (第22回日本排尿機能学会 学会賞)