Kyoto University Advanced Nursing Sciences

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看護倫理学分野

スタッフ

竹之内 沙弥香 准教授
近田 藍 助教

研究室Webサイト https://sites.google.com/view/nursing-ethics-kyoto-univ

分野の紹介

私たちが社会生活を送る上で「これは善いか、正しいか」等と検討し、判断する際の根拠となるのが倫理です。「どのような医療やケアが患者にとって最善か」を常に考えながら、医療現場で日々の看護実践にあたる看護師にとって、倫理は礎ともなるものです。

そして、看護倫理とは、看護の対象の尊厳を守り擁護する、倫理的看護実践について考えることです。医療専門職が、臨床で生じる倫理的問題を、構造化されたアプローチにより特定・分析・対応し、患者や関係者とともに本人の価値観を尊重して、最善策を話し合う取り組みが、臨床倫理ですが、看護倫理は臨床倫理と密接に関わっています。

看護倫理学分野では、看護師が日々直面する倫理の課題について論点を整理し、議論の枠組みに基づき検討を重ねることから、よりよい看護とは何か、よりよい患者医療従事者関係における看護師の役割とは何かを研究しています。一人でも多くの看護師に倫理に興味を持ってもらい、すべての人々のWell-beingの向上に寄与する看護実践に貢献できることを目指しています。

教育活動

学部教育においては、基礎看護学領域の臨床基礎看護学、臨床基礎看護学演習、臨床基礎看護学実習、看護倫理を主に担当しています。大学院教育においては、看護倫理のトピックスの中でも、特に意思決定支援、アドバンス・ケア・プランニング (ACP)End-of-Life Discussion、看護倫理教育、エンド・オブ・ライフ・ケア教育、研究倫理等に焦点を当てて教育・研究指導しています。

<臨床基礎看護学実習の様子>

<分担執筆した教科書・参考図書>

研究活動

医療専門職を対象とする倫理教育、倫理的医療やケアの実践支援、ヘルスケアおよび生命科学研究における倫理的課題の検討、ヘルスケアおよび生命科学研究の倫理に関する一般市民対象のリテラシー向上に関する取り組みなどは、すべて我々の教育・研究活動の対象です。

特に、意思決定支援やアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する研究に焦点を当てています。病と共に生きる人とそのご家族に、看護師がどのような意思決定支援をすれば、患者の価値観を反映した医療・ケアを提供することができ、患者が満足して日々の療養生活を送ることができるか、より良い意思決定支援の方法を検討し、モデル開発に取り組んでいます。また、日本文化に即した倫理的看護実践と看護倫理教育を進めるために、国際研究や国内共同研究等を通して幅広い視点から考察を深めています。


<主な研究テーマ>
 ▶がんや難病患者へのACP支援モデル開発と評価
 ▶医師看護師の協働による意思決定支援モデルの検討
 ▶市民対象の意思決定支援ツールの開発と評価
 ▶ヘルスケアおよび生命科学研究における倫理的課題の検討
 ▶医療専門職を対象とする倫理教育
 ▶臨床倫理コンサルテーション

<卒業論文のテーマ>

2020年度)
●  新人看護師の離職要因と離職を踏み止まらせる要因
 についての文献検討
● パンデミックによる面会制限が行われている緩和ケア
 病棟における遺族ケアの現状と工夫に関する
 インタビュー調査
● 急性期病院の中堅看護師に成長をもたらした臨床体験
 の意味づけに関する質的研究ケアリングの相互性に
 焦点を当てて
● 急性期病院に入院中の脳血管疾患患者への
 スピリチュアルケアの現状に関する質的研究

2020年度学部ゼミ生卒業式にて

社会活動

看護倫理学分野では、市民から医療従事者まで、幅広い対象に倫理について考える機会を提供し、人々のWell-being向上をはかる取り組みをしています。

子どもの知的好奇心をくすぐる体験授業
 2015年より京都府教育委員会の事業を通して、小学生を対象にいのちの授業を行っています。子どもたちが自分の 
 力で自分や周りの人を大切にする方法を考えます。

臨床倫理学入門コース
 2015年より、市民や学生を含む幅広い参加者を対象に、臨床倫理学の理解を深め議論する研修の開催に
 たずさわっています。
    https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/event/2021-05-31

「京都の街で あなたらしく生きる を支える」ACP看護研究会
 2014年より、アドバンス・ケア・プランニングを実践する看護師に、学びや情報交換の場を提供しています。
    http://lifestyle-related.hs.med.kyoto-u.ac.jp/project%20-%20acp.html

ELNEC-Jコアカリキュラム指導者養成プログラム
 2005年より、ELNEC-Japanのコア、クリティカルケア、小児緩和ケアの看護師教育カリキュラムの開発・普及に
 たずさわっています。
    https://www.jspm.ne.jp/elnec/elnec_about.html(日本緩和医療学会)

研究業績

  1. Chikada A, Takenouchi S, Arakawa Y, Nin K. (2021) A descriptive analysis of end-of-life discussions for high-grade glioma patients, Neuro-Oncology Practice, 8(3), 345-354.
  2. Okada, H., Takenouchi, S., Okuhara, T., Ueno, H., and Kiuchi, T. (2020). Development of a Japanese version of the Advance Care Planning Engagement Survey: Examination of its reliability and validity. Palliat Support Care, 1-7. doi:10.1017/S1478951520001108
  3. Lin CP, Cheng SY, Mori M, Suh SY, Chan HY, Martina D, Pang WS, Huang HL, Peng JK, Yao CA, Tsai JS, Hu WY, Wang YW, Shih CY, Hsu SH, Wu CY, Chen PJ, Ho HL, Pang GS, Menon S, Ng-Han Lip R, Yuen KK, Kwok AO, Kim SH, Kim JY, Takenouchi S, Kizawa Y, Morita T, Iwata F, Tashiro S, Chiu TY. (2019) 2019 Taipei Declaration on Advance Care Planning: A Cultural Adaptation of End-of-Life Care Discussion. Journal of palliative medicine. (1557-7740 (Electronic)).
  4. Takenouchi S. (2018) Empowering Nurses through End-of-Life Nursing Education in Asia: Nurses as Advocates for Patients’ Dignity. Asia-Pacific Journal of Oncology Nursing, 5(1), 9-11.
  5. Malloy, P., Takenouchi, S., Kim, H. S., Lu, Y., & Ferrell, B. (2018). Providing Palliative Care Education: Showcasing Efforts of Asian Nurses. Asia-Pacific Journal of Oncology Nursing, 5(2347-5625 (Print)). doi:10.4103/apjon.apjon_55_17
  6. Takenouchi S, Sasahara T, Miyashita M, Kawa M, Umeda M, Arahata T, Kizawa Y, Tamura K. (2017) Empowering Nurses through Translating the End-of-Life Nursing Education Consortium: The End-of-Life Nursing Education Consortium-Japan Core Curriculum Project. Journal of Hospice and Palliative Nursing, 19(6), 539-549.
  7. Chikada A, Takekuma Katsumata A, Asase M, Takenouchi S, Arakawa Y, Nin K. (2017) Lived experience in patients with recurrent glioblastoma in Japan: A narrative study. Asian/Pacific Island Nursing Journal, 2(4), 157-165.